京都府鍍金工業組合青年部 鍍秀会

鍍秀会の概要Overview

鍍秀会とは

「鍍秀会(としゅうかい)」とは、京都府鍍金工業組合の青年部の名称で、京都のめっき/表面処理関連企業の若手経営者及び技術者等の集まりです。めっきに関する勉強会を始め、経営・環境・営業・先端技術等について幅広く多角的に講習を開催し、その他工場見学会や研修旅行なども行っています。
それぞれの会員企業の得意とする技術の分野は異なっていますが、互いに励まし合い、協力し合いながら、めっき業界・産業界の発展と、社会への貢献を目標に、日夜努力に務めております。

名称の由来

"鍍金に秀でる会"…秀れためっき、秀れた技術者、秀れた会社・業界を志し「鍍秀会」と命名。

目的

本会は会員相互の技術についての知識の向上を図り、もって会員自身の指導的、社会的地位の向上と所属企業の振興発展に資することを目的とする。(会則第二条)

設立

昭和41年10月8日 於 有限会社北村鍍金工業所(現、メテック(株))

設立当時の時代背景と設立までの経緯

1.明治から大正、戦前までの時代背景

「千年の都」や「美術工芸の都」と称されるおど古来より歴史と文化が根付くまち、ここ京都は寺社仏閣などが無数に存在し、それに伴うさいじも多く行われている背景から、これらに関係する仏具・神具など金属工芸品に対し、金めっきなどの表面処理が地場産業として広まり家内工業的に古くから行われてきた。その中でもとりわけ、大正9年創立の京都市工業研究所(現在の(地独)京都市産業技術研究所)により、これら事業所および従事する者への指導、特に美術工業品をで製作する技術の研究・指導が盛んに行われ、京都の工芸業界の技術振興に大きく寄与して頂いた。

2.戦後から急速に変化していった技術革新

 先の大戦後、産業界は大きく転換する事となった。これまで細やかに行われていた銅-ニッケル-クロムめっきが広く活用されるところとなり、あらゆる工業製品へ普及していった。また、その需要が急速に進み、「大量生産大量消費」という高度成長期へ突入した事により、めっきを業として営む事業所も増加。これらに応えるための設備、人材を整備する事も急務となった。
 一方で、昭和26年頃。外国から各種の新技術が導入されはじめ、ニッケルめっき及び銅めっきの光沢剤が新たに開発・普及される様になった事で研磨処理が省略できるようになるなど、めっき作業そのものが大きく変化する時代となってきた。いわゆる技術革新が飛躍的に進む事になった。
このように産業界を取り巻く構造・技術などあらゆる要素が変化し、従来から行われてきた所謂「勘コツ・経験・度胸」だけでは十分に対応できなくなり、これからは科学知識を有する技術者・技能者の育成、それによって生み出される“世界水準の技術”と“技術による管理”がますます必要とされる時代へと変化していった。

3.京鍍会の発足

 そのような世情の中、京都内のめっき業を営む主な企業9社の経験者有志一同が有野三幣理平氏(当時の京都府立機械工業指導所所長、工芸博士)を囲み、昭和27年1月から【京鍍会(きょうとかい)】を発足させ、当時急速に進んできた技術や変化する世情に適応できる経営学を習得するための勉強会毎月定例会とし夕方5時から晩遅くまで、お寺や府の指導所などを間借りし勉強に励んでいた。なお、その後この京鍍会のメンバーが中心となり昭和37年5月に【京都府電気めっき工業協同組合】を設立。これが現在の【京都府鍍金工業組合】の前身となる。

4.京都金属表面処理技術研究会の発足

 当時の京都府立機械工業指導所(現在の京都府中小企業技術センター)では、昭和30年1月に京都大学教授の岡田辰三氏を中心に【京都金属表面処理技術研究会(初代会長に清水長治郎氏(現、清水長金属工業(株)の創業者)。その後【社団法人 京都経営技術研究会】に改名)】が発足し、めっきをはじめとする新しい表面処理技術の紹介・研究・指導・普及が積極的に行われ、まさに「産学官協働」の草分け的存在となった。

5.技術者・技能者の育成

「優れた技術は優れた技能者から」と言われる通り、激変する世情・潮流に適応してゆくためには人材育成・技術継承が急務となった。
戦後、中小企業庁主催による技術コンクールは「めっき技術部」も行われ、昭和25年度には京都から1社が中小企業庁長官賞を、昭和27年度には同じく京都から2社がそれぞれ通商産業大臣賞と中小企業庁長を受賞し、京都のめっき技術の優秀さを全国に知らしめる事になった。
また、昭和36年9月には京都府立機械工業指導所で【金属表面処理技術者養成講座(1年コース)】が開講され多くの優れた技術者・技能者を輩出。京都のめっき業界の発展に大きく貢献した。
 また一方、昭和39年度より電気めっき工技能競技大会(所謂、めっき技能検定)を京都府中小企業総合指導所の協力を得て行い、その後昭和42年に京都総合職業職業訓練校が設立。昭和43年度から「めっき工科」も開講する事になった。このめっき技能検定は昭和52年度まで実施されていた。(当時の検定委員主査:八木永治氏(現、京都府鍍金工業組合顧問)、審査員:中島孝直氏(当時の㈲北村鍍金工業所(現、メテック㈱))、京都府鍍金工業組合の前進となる京都府電気めっき工業協同組合初代理事長)・田辺千代太郎氏(清水長金属工業㈱)

6.次世代のめっき業界を担う貢献者を育成する「鍍秀会」の誕生

 めっき業界を取り巻く環境は非常な予想以上の早さで変化する時代となり、従来の考え方ややり方では顧客に十分満足していただけないようになってきた。企業の在り方、技術への対応を改める必要に迫られるようになった。京鍍会の中でもその世情・実態に直面する中で、「従来の経営の勉強や技術の研究だけではなく、将来の業界の永続的発展・進化のためには、青年会的な会を作り貢献者や若手の育成が必要だ」との声が必然的に出てくることとなった。
 これについて、当時の組合専務理事で㈲上田鍍金工場所(現在の上田鍍金㈱))社長の上田勝治氏が、京都府中小企業総合指導所に組合事業計画等について相談に行った折に友野理平氏・八木永治氏とで後継者育成について話し合われ「早急に取り組むべき」となり、上田専務より組合役員会に発議・検討され承認が得られた。
 上田専務から組合承認が得られたという報告を受け、上記3人で青年部発足のための事項を以下の要件にまとめた。

  1. 自由な活動ができるよう組合組織には入れない事。
  2. 中立的な会とsるため表面処理組合外の会長を選ぶ事。
    (具体的には、㈱寺内製作所の田淵一三氏を予定。)
  3. 新たに会の名称を考える事。
  4. 府市協調による指導がうけられるよう光村武男先生(京都市工業研究所(現在の京都市産業技術研究所))に加わっていただく事。
  5. その他(顧問・運営・事務局等々)
    事務局は京都府中小企業総合指導所表面処理担当とする。

そして、昭和41年10月8日、第1回の初会合を㈲北村鍍金工業所(現、メテック㈱)で行い、会名称を【鍍秀会】、初代会長に田淵一三氏を招き創設発会。以来50年の時を経て現在に至る。

会員構成(平成29年1月現在)

正会員数:16社20名

賛助会員数:11社11名

主な活動・事業

月例会(講演会・実験・製品紹介等

研修旅行(工場・展示会・公設機関の見学等)

新年会及び納涼会、他府県青年会との交流 など

主要事業 略年表Major business

年度 事業 会長
昭和41年 鍍秀会設立発会式(10月8日 北村鍍金) 田淵 一三
昭和43年 工場見学会 名古屋地区:白金めっき、共同めっき、中央製作所、三菱重工小牧工場 田淵 一三
昭和45年 工場見学会 長野地区:アガツマ精機、柳沢精機
万国博覧会見学
公害見本市(大阪)見学
山本 勲
昭和46年 工場見学会 兵庫地区:兵庫県工業試験場、オリエンタル鍍金、西森鍍金、岡本鍍金
工場見学会 群馬神奈川:共和網島工場、山王めっき、さくら鍍金、高崎金属工業団地、群馬鍍金組合
中島 孝造
昭和47年 工場見学会 岡山地区:オーエム工業、中備鍍金工業、岡山県船舶廃油処理場
工場見学会 静岡地区:サキヤ計器、三越鍍金、日内地鍍金
討論会 スラッジの処理について
岸本 憲一
昭和48年 産業公害防止機器展(大阪)見学
工場見学会 新潟地区:笹川鍍金、横山鍍金、野水電化、大和精鍍、蓮沼商店
中島 孝造
昭和49年 工場見学 四国地区:橋本鍍金、新和硬化クロム、三島鍍金
国際公害防止ショー(大阪)見学
山本 勲
昭和50年 京都公害防止展見学 堀之内 正嘉
昭和51年 工場見学会 大阪地区:サトーセン、三和防錆、上村中研 中島 孝造
昭和52年 表面処理総合展(大阪)見学
工場見学会 兵庫地区:佐和鍍金、神戸めっきセンター
工場見学会 北陸地区:浅下鍍金、大東産業
山本 勲
昭和53年 ダイハツ見学
工場見学会 四国地区:住友金属鉱山
中島 孝造
昭和54年 工場見学 山口地区:中国電化 山本 勲
昭和55年 国際金属表面処理技術総合展見学
有志によるシンガポール-北村鍍金見学
堀之内 正嘉
昭和56年 工程管理、公害対策、省エネ・省資源-パネル討論会
工場見学 富山地区:立山電化工業、石崎産業
山本 勲
昭和57年 工場見学会 北陸地区:村田機械加賀工場、九谷美陶園
メカトロニクスショー(大阪)見学
堀之内 正嘉
昭和58年 日新製鋼見学 村上 宏之
昭和59年 工場見学会 滋賀地区:昭和アルミ、大日本スクリーン彦根工場 納谷 彰
昭和60年 筑波博見学会と東京青年部(組合連合青年部、十日会)との交流会 納谷 彰
昭和61年 工場見学会 東京地区:ヒキフネ、メテック見学
十周年記念式典:京都ホテル-記念講演(鍍秀会20年のあゆみ)、パーティー
山中 康宏
昭和62年 工場見学会 愛知地区:愛知県工業技術センター、刈谷鍍金工業所、名鍍会との懇談会 山中 康宏
平成元年 甲南大学研究室訪問、講演(甲南大学 縄舟氏)
大阪府立大学工学部研究室見学、講演(大阪府立大学 小見氏)
山中 康宏
平成2年 鍍金基礎講座-前処理、銅、ニッケル、クロム、貴金属、亜鉛、後処理 永峰 健次
平成3年 鍍金基礎講座-鉄、銅および銅合金の化学研磨他計5回開講 永峰 健次
平成4年 旭金属工業安八工場見学
テック92見学
小林 明洋
平成5年 中小企業技術者研修「めっき基礎講座」※平成5、6、7年開講 小林 明洋
平成6年 筑波研究学園都市とメテック94見学
上村工業中央研究所見学
小林 明洋
平成7年 活路開拓ビジョン調査事業講習会
MT&ビジネス交流フェア出展-製品展示と金めっき実演
工場見学会 北陸地区:不二越中田工場、ユニゾーン、上田鍍金北陸工場
工場見学会 四国地区:ユーミック、トミー、香川県工業技術センター、青年部会との懇親会
第一回京都青年中央会祭 CAP FESTA出展
小林 明洋
平成8年 京都府鍍金工業組合の正式な青年部組織となる
ホームページ開設
機関紙「鍍秀会ねっとわーく」の発刊
工場見学会 東京地区:城南処理センター、大崎金属、エビナ電化工業、メテック96
30周年記念事業「今、よみがえるめっきの鉄人」(歴代会長・顧問に聞く)
寺田 理
平成9年 設立三十周年記念式典:からすま京都ホテル
記念講演:堀場厚氏
第二回京都青年中央会祭 CAP FESTA出展
工場見学会
九州地区:石川金属、九州鍍金組合青年部との交流会
寺田 理
平成10年 海外研修-マレーシア工場見学
(ウエダプレーティング、メテックキタムラ、ディップソール、他)
実習-マイクロカプセル複合めっき
平成11年 綾部鉄工工業協同組合青年部合同工場見学会および懇親会
-綾部機工製作所、堀内機械
第三回京都青年中央会祭 CAP FESTA出展
高木 栄次
平成12年 家族例会-潮干狩り:三重県御殿場浜
工場見学会 平和工業、新日東電化協業組合、メテック2000
青少年のための科学の祭典出展:京都市勧業会館
藤木 陽一
平成13年 工場見学会 佐和鍍金工業、衣川製鎖工業、兵庫県鍍金組合青年部との懇親会
青少年のための科学の祭典出展:京都市青少年科学センター
工場見学会 北海道地区:日栄ハードクロム、メテック北村北海工場
藤木 陽一
平成14年 工場見学会 東新工業、JPCAショー
工場見学会 柿原工業、中央電化工業
青少年のための科学の祭典出展:京都市青少年科学センター
杉江 秀生
平成15年 工場見学会(組合共催) 高橋金属、ビプレ
青少年のための科学の祭典出展:京都市青少年科学センター
塩瀬 康嗣
平成16年 鍍秀会ねっとわーくの新創刊
青少年のための科学の祭典出展:京都市青少年科学センター
工場見学 東北地区:スズキハイテック、ケディカ
ビジネスパートナー交流会出展:京都国立国際会館
鳳崎 義一
平成17年 第六回京都青年中央会祭 CAP FESTA出展
青少年のための科学の祭典出展:京都市青少年科学センター
鳳崎 義一
平成18年 九州工場見学:(株)オジックテクノロジーズ・(株)九州ノゲデン・(株)東洋硬化
鍍秀会40周年記念式典:新・都ホテル
鳳崎 義一
平成19年 京都青年中央会祭り(CAPフェスタ)出展
青少年のための科学の祭典
京都ビジネスパートナー交流会2008参加
堀口 謹司
平成20年 第24回京都府知事杯争奪ソフトボール大会
京都工試協会創立40周年記念事業
京都ビジネス交流フェアー2009参加
堀口 謹司
平成21年 京都青年中央会祭(CAPフェスタ)出展
青少年のための科学の祭典
堀口 謹司
平成22年 広島工場見学:ワイエスデー・新和金属
青少年のための科学の祭典
山本 剛史
平成23年 熊本工場見学(組合共催事業)(株)オジックテクノロジーズ・(株)熊防メタル
熊本防錆工業㈱
大阪府鍍金工業組合南支部来訪、工場見学:清水長金属工業㈱
山本 剛史
平成24年 青少年のための科学の祭典 山本 剛史
平成25年 三府県合同例会:兵庫・大阪・京都青年部、合同勉強会、開催担当:兵庫
講師:大和ハウス工業㈱ 代表取締役会長兼CEO樋口武男氏
京都青年中央会祭(CAPフェスタ)出展
山本 剛史
平成26年 九青会様来訪、工場見学:(株)キョークロ・上田鍍金㈱
三府県合同例会:兵庫・大阪・京都青年部、合同勉強会、開催担当:京都・
「後継者への心構え」~町工場から夢工場へ~
講師:HILLTOP(株) 代表取締役社長 山本昌作氏
青少年のための科学の祭典
熊崎 純一
平成27年 京都北部工場見学:京丹TSK(株)・(株)峰山メッキ
三府県合同例会:兵庫・大阪・京都青年部、合同勉強会、開催担当:大阪
第一部:大阪府庁 府政学習会・見学会 第二部:マイナンバー勉強会
九州福岡工場見学:(株)正信・(株)東洋硬化
熊崎 純一
平成28年 大阪工場見学:(株)土井鍍金・国光鍍金工業㈱・日本電鍍工業㈱
三府県合同例会:兵庫・大阪・京都青年部、合同勉強会、開催担当:兵庫
「率先垂範 社長こそトップセールスたれ!」
(株)フジ医療器 相談役 木原定男氏
九青会来訪工場見学:清水長金属工業(株)・(株)旭プレシジョン
鍍秀会50周年記念式典
第一部:式典 第二部:基調講演 第三部;記念祝宴
基調講演「熊本地震とBCP
講師:(株)オジックテクノロジーズ 代表取締役社長 金森秀一氏
第5回めっき業界「未来を担う若手の集い」
松本 源志朗